弟への感謝
弟のことはいつも両親の悩みでした。
大学を辞めてから10年以上、不登校きみの頃から数えたらもっとか。弟を巡っては家族の衝突もありました。弟を責めてしまったこともありました。弟が前の会社を辞めてから、両親は本当に何も言わなかったのです。忍耐強く見守り続けました。
それ以上に自分の弱さに向き合い続けた弟は本当にすごいです。
私は不登校の子どもの支援の仕事をさせてもらっていました。子育てが一段落したらまた仕事を再開したいと思ってます。
これまで、学校段階で支援することで予防できることがあるのではないかと考えていました。しかし、弟のことを通して、不登校やひきこもりってその人の人生にとって必要な過程なんじゃないかって思うようになったのです。
否定するものではなくその子にとって必要な過程と考えたら、支援職としての関わり方も変わります。
何よりも弟は「人生いつからでもスタートできる」ということを教えてくれました。
子どもが不登校やひきこもりで悩んでいるお母さんに「大丈夫です」って言ってあげられるという武器をもらいました。
弟からたくさんのことを学びました。
ありがとう。
弟のこと~本当の解決とは
さて4月から勤め始めた弟。最初の3ヶ月は研修期間ということでした。働き始めてからは朝5時半に起き、6時半頃出勤。仕事はやはり大変そうでしたが、充実しているのが伝わってきました。(今は別に暮らしてるので週1日か2日程度しか会いませんが)
順調にいってると思っていた6月のある日、娘と実家に行くと母から「昨日で仕事辞めてきちゃったのよ」と聞かされたのです。
研修期間が終わる頃、技術職ではなく生産ラインにいってくれないかと言われたそうなんです。入社の時に聞いた話と違うことや、ここ数年入った人のほとんどが辞めてしまっていること、生産ラインにいったとしていつ技術職に戻れるかわからないことを聞き、研修期間での退職を選択したそうです。
一瞬よぎった4年前のこと。仕事を辞めてなにもしないで1か月2ヶ月と過ぎていった時のこと。しかし、弟は姉の想像を遥かに越えて進化を遂げてました。
6月で退職すると決まってから家族に伝えるまでの間にすでに7社に応募書類を送っていたのです。「本当は次が決まってから家族に言おうと思っていたんだけど、、、」と。
そして退職して1週間で次の仕事を決めてきました。もちろん資格を取得していたことや電気の求人数が多いことも関係あります。しかしこれまで、考えて考えて考えて動けない弟からは想像もできない行動力です。そのことを伝えると「あの頃の自分には戻りたくなかった」と話していました。弟は働きながら上級資格を目指していきたいと考えているそうです。だから仕事内容は妥協したくなかったようでした。
この弟の姿を見て、「あぁ、弟は乗り越えたんだなぁ」って実感しました。この先の人生も多分いろいろなことがあると思います。でも弟はもう大丈夫って心の底から思いました。
弟は言ってました。あの3年間があるから今があると。
中途半端に動いた時はすべてから回ってたんですよね。あの3年間は本当に何もやらなかったんです(家族からはそう見えただけで、いろいろ考えてたんだと思いますが)。
続く
弟のこと~ひきこもりが終わるとき②
弟は技術を身に付けようと考えたそうです。私が社会福祉士の資格を取得したことやその話をしたことを弟なりに考えたみたいでした。弟は理系の大学に進学した自分の経歴を考え、電気工事士の資格取得を目指すことにしました。この資格にたどりつくまでも、多分私が想像する以上に考えて考えて考え抜いたのだと思います。
県の職業訓練校なので試験もきちんと実施されるということで、弟は真剣に試験勉強に取り組んでました。そして合格し、週5日の職業訓練校に通い始めました。
学校というものをやりきった経験のない弟。母と私は「通いきれるのか」と心配していました。
が!心配は無用でした。
1年間無遅刻無欠席、しかも成績優秀者として表彰されて卒業したのでした。自転車でこけて足を捻挫したときも休まず!
学校が終わったあとはスーパーでバイトをし、土日の昼間は派遣のバイトをし、家に生活費をきちんと入れてくれました。
11月にはには大手食品製造会社の技術職として内定を得ることができたのです。
またなんと!彼女もできました。純朴そうな可愛らしい娘さん。
学校に通い始めてからの弟は本当にいきいきとしてました。忙しい生活の合間に、学校の先生とゴルフ行ったりクラスメイトとごはんに行くなど人付き合いも積極的になりました。
弟いわく、人との付き合いを避けてしまうのはよくないと思うようになったそうです。
家でもよく話すようになりました。学校で学んでいることはもちろん、私達家族にいろいろなことを話すように。本来の明るさを取り戻したような感じでした。
弟がなぜ通いきれたのか、、、、おそらく「自分で選んで悩みながらも自分で決めた」からではないかと思います。これまでの弟は、何がしたいのかわからなくて立ち止まってしまっていたのだと思います。大学中退や職場での人間関係のこじれなどで挫折感も味わっていたのだと思います。
そして弟の話を聞いて知ったことは、人の言葉が弟に届いていたということ。
家族の言葉はもちろん、就職の面接で面接官に言われた言葉や郵便局での出会い。それらの人の言葉が弟に考えるきっかけを与えていたことを知りました。
あの3年間のひきこもり生活があったからこそ、職業訓練校での1年間では人の話を素直に受け止め、学校でもバイト先でも人に可愛がられ、これまで出会った人たちからの言葉を活かしきり、自分の道を手繰り寄せることができたのではないかと思います。
続く
弟のこと~ひきこもりが終わるとき①
以前ブログで軽く触れたことのある弟のこと。私の弟は約3年の間、働かず家にいました。弟は小学生まではとても活発で、明るい子どもでした。そんな弟が中学生のある時期から学校を休みがちになりました。やっとの思いで高校に入り、これまたやっとの思いで大学に進学。浪人、留年ののち大学を中退しました。その後、仕事を見つけますが人間関係のこじれ(話を聞いてるといじめに近いような)で1週間で退職。空白期間をへて父のつてで仕事を再開しました。その間の弟は楽しそうではなく、義務感で仕事をしているような印象でした。家でもあまり話しませんでした。よく言っていたのは「自分がぎりぎり生活できるだけのお金があればいい」。目標とかやりがいとかそんな言葉は弟を追いつめるようでした。
3年間続けたその仕事を辞めてからひきこもりのような生活になりました。
大学を中退した時や一番最初に会社を辞めたあとの空白期間の時、責めてしまったことで頑なになってしまったことがあったので、今回は父も母ももちろん私も何も言わず見守り続けました。
部屋にこもりがちといっても買い物で外出はするし、学生時代の友達とたまに食事にいってました。
家で過ごしはじめてまもなく3年になろうとするときに、母が何気なくリビングに置いた郵便局アルバイトのチラシを見てアルバイトを突如始めた弟。そのアルバイトがきっかけになって、就職活動を開始します。しかし、しばらく活動したあと学校に通いたいと言い出したのです。その思いを父と母に話し、県の職業訓練校を受験することになりました。
そのときすでに34歳。弟の願いを受け入れた父と母にあっぱれです。
とにかくそのあたりから弟は変わりました。
続く
★出産しました★
4月7日に女の子を無事に出産しました。
まもなく生後2ヶ月を迎えるわが娘。
出産前から切迫早産で自宅での絶対安静となり、正産期に入ったと思ったら骨盤が小さく子どもが出てこれない可能性があるとの診断になり帝王切開での出産。
生まれてからの2カ月間は、30分1時間おきの授乳に疲弊し、ベッドに置いたら泣き出すのループで腹の上に娘を乗せて寝たり。朝、目覚めたら腹の上の娘がいつのまにか私の横でちょこんと寝転んでいる姿をみては癒されたり。なんで泣いてるのかわからなくてこっちが泣きたくなったり。
泣いたらなにはさておき子どものことを第一優先に動く。自分のやってたこともやりたいこともいったんよそにおく。
出産したら自然にお母さんになるってのは違ってて、こういう過程を通して母になる覚悟を決めていくのだということが身に染みた二ヶ月でした。
「よし、今日はとことん付き合ってやる!泣いてもわめいてもどんとこい!」って覚悟を決めた瞬間ころって寝てくれたり、、、なんてこともありました。
私はこの子にお母さんにしてもらったのだなぁ、お母さんにしてくれてありがとうという気持ちです★
過去と向き合い、解放されていく~桜木紫乃『風葬』
ここ2年ほどで結構好きな作家さんです。
私の感じる桜木さんの作品の魅力は「女性」。女性であるがゆえの醜さ・愚かさを描くのと同時に女性だからこその忍耐強さ、賢明さを感じさせてくれます。
どろどろしてるんです、、、、本当に。
今回のお話。
認知症の症状が出始めた母の一言である「ルイカミサキ」。この言葉に惹かれるように自分の出生の秘密を知ろうと動き出した夏紀。
一方、定年退職をした元教師・沢井徳一は「涙香岬」をみたいと自分を訪ねてきた夏紀と出会い、教え子の不審な死の真相を知るために動き出す。
徳一とその息子・優作は命の危険にあいながらも真相に近づいていく・・・・というお話。
認知症の母・春江は最後まで夏紀に真実を話さないんです。人は自分の弱さや幼さを半ば正当化したいがために話すということもあると思います。でも春江は絶対話さない。最後まで読み終わったときに「そうか、これは生きることへの覚悟だったのか。」と感じました。
夏紀は結局最後まで自分の出生の秘密は知らないままで小説は終わります。
徳一の教師としての悔い、父の姿を通して再生への道を歩み始めた息子の優作のストーリーからもいろいろなことを深く問いかけられたように思います。
過去に囚われることは人間の愚かな側面かもしれません。でも過去から解放された時にその人の道を歩んでいくことができる。過去をたどることで自分の生きる道を照らしていく・・・・。
静かな希望を感じさせてくれる1冊でした。
スターの目線に困った日~宝塚花組公演観てきました~
これまで真面目な内容ばかり書いてきましたが、超インドア派オタク気質でもあるので、趣味のこともゆるーく書いていこうと思います。
私の趣味のひとつは宝塚観劇です。初めて宝塚を観たのは約20年前の高校生の時。
天海さん、真矢みきさんがトップの時代でした。大学生になったり、社会人になったりで離れていた時期もあります。
ここ最近もドストライクのスターさんがいないせいか、少し離れ気味だったのですが、久々に観劇してまいりました。
花組公演「雪華抄」「金色の砂漠」です!SSWのお仲間と観劇してきました。彼女は私の前から宝塚を観ていたという方。
今回の席はなんと!前から2列目の超良席。
友の会に入って約10年。こんな良席、初めてでした。友の会さん、ありがとう~。
花組さんを観るのは、なんとアーネストインラブ以来、、、。花乃まりあちゃんのトップお披露目以来です。
今回は日本物のショーとお芝居の二本立て。
日本物のショー「雪華抄」は幕開きからのチョンパ。明かりがついたら目の前の銀橋にスターが勢ぞろい。とにかく華やかで、中だるみすることなくあっという間の50分。
そしてお芝居の「金色の砂漠」
物語の舞台となる国では、王族に女の子が生まれたら男の子の奴隷、男の子が生まれたら女の子の奴隷をつけるという風習があり・・・・という設定。
トップスターの明日海りおさん演じるギィは、トップ娘役花乃ちゃん演じるタルハーミネ(第一王女)の奴隷。なぜこんな仕打ちを受けなくてならないのかという屈折した思いを抱えながらも王女への恋心を隠せないギィ。タルハーミネの婚礼の前日、激しい思いをぶつけるのです。そして翌日、奴隷と通じ合ったことが父である王に知られたタルハーミネはみんなの前で「愛してなどいない!」と激しく言い渡すのですが・・・。
設定は絶対ありえないのに、舞台全体が金色の砂漠の世界観でいっぱいに包み込まれている感じでいっぱいに。
最後、砂漠の上で激しくお互いの思いを伝えあい、息絶えるところがですね・・・・
美しいの一言。
本当に美しい舞台でした。