たまに真面目なひとり言

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宮下奈都『よろこびの歌』〜何の為に生きるのか

よろこびの歌 (実業之日本社文庫)

よろこびの歌 (実業之日本社文庫)

宮下奈都さんの本を引き続き読んでみた。
今回は『よろこびの歌』

ひとこと、とってもよかったです。

有名なバイオリニストを母に持つ玲は高校受験に失敗し、音楽科のない女子校に入学する。友達も作らずクラスメイトと距離を置いていた玲だったが、合唱コンクールで指揮者をすることになり、、、。というお話。

玲と同じクラスの生徒が主人公の連作短篇集。
すごかったのは、主人公となる女の子たちがちゃんと主人公だったこと。なのに、他の主人公となる女の子たちと関わり、自分の心と向き合い、自分の心に足りないものに気付いて一歩を踏み出していく。
短編の物語が時系列にちゃんと進んでいて、主人公ではない女の子の成長を垣間見せてくれる。
連作短篇集だが、一つの結末として繋がる。爽やかな嬉しくなるような読後感。
とても素敵な作品でした。