たまに真面目なひとり言

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桜木紫乃『裸の華』~女が覚悟を決めたら強いのである!

裸の華

裸の華

 


4月からSSWのお仕事を再開しました。とある高校に配属になりました。
週2回の勤務ですが、なんだか慌ただしくバタバタしております。娘を保育園に送り届けたあとそのまま駅に向かうのですが、電車に乗るには少し早い時間。その時間にコーヒーを飲むのがちょっとした息抜きの時間になってます。

働くようになって本を読む時間が増えました。本を読むのが好きな私にとって嬉しい時間です。
電車の時間とか朝のコーヒータイムとか。

最近読んだのはこちら。
桜木紫乃さんの「裸の華」。
少々ネタバレあり。

足の骨を折り、踊り子生命を絶たれたストリッパーのノリカ。そのまま誰にも何も告げずに故郷の北海道に戻り、ダンスシアターを開店させることに。ダンサーの募集で面接にきたふたりの若いダンサー。
このダンサーとお店を作り上げていくことになり、、、というお話。


この本のテーマは何だろうって思ったときに思い浮かんだのは「再生の物語」。女性が覚悟を決めるまでの物語。

強烈な個性と才能をもったみのり、ストイックな元ストリッパーのノリカ、明るい性格でその場を盛り上げ繋いでいく役割を持った瑞穂。この3人+バーテンのジンが作り上げるダンスシアターは絶妙なバランスを保ちながらお客さんを惹き付けるシアターを作っていく。まさに夢の世界。
みのりの花が咲いていくとき、夢の世界も終わる時だった。そしてノリカもある覚悟を決めていく。

物事には終わりがあること、、、。このことに向き合い、自ら幕引きをするノリカさん。踊り子であることに信念を持ちながらも、ストリッパーである自分を恥としていた自分に気づく。

物事には終わりがある、、、これってわかってるようでなかなかわからない。「くぅ、大人だ。。。」って思いながら読み進めました。

ノリカを慕うみのりは、死ぬまで踊りたいと言い切る。ストリッパー役として出演することになったことにたいしても、裸で踊ることに戸惑いはない。

そんな彼女との出会いがノリカの心に変化をもたらす。

結局は自分の心次第なのだ。ストリッパーとして生きていくことを決め、自分の居場所へと戻っていく。腹を決めた女性は強い。

桜木さんの作品としてはそれぞれの登場人物が前向きな道へと進んでいくような展開がめずらしいと感じた。

しかし、女性の心を丁寧に描くところはさすがでした。